de minimisルールと直接製品規則
外国製品がEARの対象になるかを決めるde minimisルールの計算(25%と10%の使い分け)と、米国技術から作られた製品に及ぶ直接製品規則を扱えるようになります。
ここからは Advanced の範囲です。EARの対象範囲(初学の節)のうち、日本製品がEARに取り込まれる2つの経路を、判定の粒度で扱います。
この節で学ぶこと
- de minimisルールの計算の型と、25%と10%の使い分けを説明できるようになります。
- 直接製品規則がどんな製品を捕まえるかを説明できるようになります。
覚えること
- de minimisルール(§734.4)は、米国原産の規制部品・ソフトウェアを組み込んだ外国製品が、EARの対象になるかを価額の比率で決めるしくみです。
- 25%ルール(§734.4(d))。組み込まれた規制対象の米国原産品の価額が、製品全体の価額の25%以下なら、EARの対象になりません。禁輸国グループ(カントリーグループE:1・E:2)以外への再輸出に適用されます。
- 10%ルール(§734.4(c))。どの国向けでも、比率が10%以下ならEARの対象になりません。E:1・E:2向けの取引では、こちらの基準だけが使えます。
- de minimisが使えない品目(§734.4(a))があります。特定の品目は比率にかかわらずEARの対象です。計算の前に、この除外を確かめます。
- 計算の分子は規制対象(controlled)の米国原産品の価額です。米国原産でも、その仕向国に規制理由が立たない部品は分子に入れません。計算手順の細目は Part 734 Supplement No.2 が定めます。
- 直接製品規則(FDPルール。§734.9)は、特定の米国原産技術・ソフトウェアを使って外国で作られた製品(直接製品)をEARの対象に取り込む定めです。部品が1つも米国製でなくても、作るのに使った技術が米国由来なら対象になりえます。半導体関連で対象が大きく広がってきた領域です。
1. なぜ比率と技術由来の2つの経路があるのか
de minimisルールは、日本の10パーセントルール(第8章)と同じ問いに答えています。わずかな組み込みまで規制を及ぼせば、世界の製造業が回らない。そこで比率で線を引き、影響の小さい組み込みを対象から外します。閾値が仕向地で変わる(25%と10%)のは、危険の大きい行き先ほど線を厳しくするという、規制の一貫した発想です。
直接製品規則は、比率の線をすり抜ける経路を塞ぎます。部品を使わず、技術だけを持ち出して外国で作る製品には、部品の比率という物差しが効きません。作った道具(技術・製造装置)の出自で捕まえる。この2つの経路を併せて、EARは「米国の貢献が入った品目」を追いかけています。
2. 判定の手順
- 製品に組み込まれた米国原産の部品・ソフトウェアを、部品表と調達情報から特定します。
- §734.4(a)のde minimis不適用の品目に当たらないかを確かめます。
- 仕向国がE:1・E:2に当たるかを確かめ、適用する閾値(10%か25%)を決めます。
- 規制対象の米国原産品の価額を分子に、製品全体の価額を分母に取り、比率を計算します。Supplement No.2 の計算手順に従います。
- 閾値以下ならEAR対象外、超えればEARの判定(ECCN・チャート・相手の確認)に進みます。
- 比率と別に、直接製品規則(§734.9)の対象になる技術・製造経路が関わっていないかを確かめます。
3. 注意すべきこと
試験で気をつける点
- 25%と10%の適用の取り違え(禁輸国向けに25%を使う)が誤答の定番です。E:1・E:2向けは10%です。
- 「米国製部品を1つも使っていなければEARの対象にならない」という記述は、直接製品規則を落としており誤りです。
実務で気をつける点
- de minimis計算は、部品の価額と規制該否の情報が揃って初めて成り立ちます。調達先からのECCN・原産地・価額情報の収集を、購買のプロセスに組み込みます。
4. 根拠法令
- 15 CFR §734.4。de minimisルール((a)適用なし・(c)10%・(d)25%)を定めます。
- 15 CFR Part 734 Supplement No.2。計算の手順です。
- 15 CFR §734.9。直接製品規則です。
- 原文は eCFR の2026年8月6日断面(台帳保存のXML)で確認しています。
5. 理解度の確認
次の記述が正しいか、誤りかを判断してみましょう。
問1 規制対象の米国原産部品の価額比率が20%の日本製品を、カントリーグループE:1の国へ再輸出する場合、25%以下なのでEARの対象にならない。
答え: 誤りです。E:1・E:2向けの再輸出に25%ルールは使えず、10%ルール(§734.4(c))だけが適用されます。比率20%はこれを超えるため、EARの対象です。
問2 米国原産の部品を使わずに外国で製造された製品でも、特定の米国原産技術を使って作られた直接製品であれば、EARの対象になることがある。
答え: 正しいです。直接製品規則(§734.9)は、部品ではなく製造に使った技術の出自で製品を捕まえます。
分からなかった点・気になった点
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この章の問題を解く
章のまとめへ- CCLは、EARの規制品目リストであり、15 CFR Part 774 に置かれている。解く
- X社の担当者が、輸出する装置のECCNを 3A001 と判定した。ECCNは5桁の構成で、先頭の数字がカテゴリ、2桁目の英字がグループを表す。解く
- X社の担当者は、ECCN 3A001 について、先頭の 3 がグループで 2桁目の A がカテゴリだと理解した。解く
- CCLのどのECCNにも当たらない品目は、EARの対象外となる。解く
- EAR99は、EARの対象外であることを意味する。解く