マルチメディアの応用
AIによる認識と生成の技術が何をしているのかをつかみ、扱ううえで気をつけるべき点を説明できるようになります。
ねらい
画像・音声・動画を使った応用技術を学びます。このレッスンを終えると、認識と生成の技術が何をしているのかを説明でき、業務で使うときに気をつける点を挙げられるようになります。
認識 — 現実のものを、データとして読み取る
- 画像認識… 写っているものが何かを判定します。製品の傷の検出、顔の照合、自動運転での標識の判別など。
- 音声認識… 話した言葉を文字にします。議事録の作成、音声での操作など。
- 文字認識(OCR)… 画像の中の文字を、文字データとして読み取ります。紙の帳票の入力に使われます。
- バーコード・QRコードの読み取り… 符号として埋め込まれた情報を読みます。
ポイント
どの認識も、確からしさを伴います。「これは95パーセントの確からしさで犬です」と答えているのであって、100パーセントではありません。間違えたときに何が起きるかを考えて、使い方を決めます。間違いが命に関わる場面では、人が確かめる手順を残します。
生成 — 新しく作り出す
近年は、学習した内容をもとに新しい画像・文章・音声を作り出す技術が広く使われています。
業務で扱ううえで、気をつける点があります。
- 内容の正しさは保証されません。もっともらしく見えても誤りが含まれることがあります。確かめてから使います。
- 権利の扱いに注意が要ります。学習に使われた素材や、生成物の権利関係が問題になる場合があります。
- 入力した情報の行方を確かめます。業務の秘密や個人情報を入力すると、外部へ渡ることがあります。社内の規程に従います。
- 本物と見分けにくい偽物が作れます。実在の人物の映像や音声を作る技術があり、なりすましや偽情報に使われる危険があります。
便利さと危険は同じ性質から来ています。本物そっくりに作れることが、価値であり脅威でもあります。
表現と体験の技術
- CG… 現実に無い映像を作ります。映画、設計の確認、訓練用の模擬環境など。
- VR… 作られた世界の中にいるように感じさせます。危険な作業の訓練に使えば、実際の危険を負わずに練習できます。
- AR… 現実の風景に情報を重ねます。設備の点検で、機器にかざすと手順が表示されるといった使い方があります。
- プロジェクションマッピング… 建物や物体に映像を投影します。
情報を守るしくみ
- 電子透かし… 画像や音声の中に、見えない形で情報を埋め込みます。出所を示したり、不正な複製をたどったりするのに使います。
- DRM… ディジタル化された著作物の利用を制限するしくみです。複製や再生の回数を制限します。
ディジタルの複製は劣化しません。これは利点ですが、権利者にとっては無制限に複製されうるという問題にもなります。これらのしくみは、その釣り合いを取るためのものです。
まとめ
認識の技術は現実のものをデータとして読み取りますが、どれも確からしさを伴い、100パーセントではありません。生成の技術は便利ですが、内容の正しさは保証されず、入力した情報の行方にも注意が要ります。VRは別の世界での訓練に、ARは現実の作業の支援に向きます。電子透かしとDRMは、複製が劣化しないことへの備えです。
理解の確認
工場の製品検査に画像認識を導入し、傷のある製品を自動で取り除く計画があります。導入にあたり、設計上考えておくべきことを述べてください。
答え: 認識が100パーセント正しいわけではないことを前提に、間違えたときの扱いを決めておくことです。画像認識は確からしさを返す仕組みなので、2種類の誤りが起こり得ます。傷があるのに見逃す場合と、傷が無いのに不良と判定する場合です。前者は不良品が出荷される危険につながり、後者は良品を捨てる損失になります。どちらをどれだけ許容するかは製品の性質で決まるため、判定のしきい値をどう置くかを業務側と決めておく必要があります。あわせて、確からしさが低い判定は人が目視で確かめるといった手順を残し、誤りの記録を蓄えて改善につなげる仕組みも用意します。
分からなかった点・気になった点
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