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日商簿記3級 勉強時間の目安と挫折しない進め方

2026/08/20

簿記3級は、用語を完璧に覚えてから進むより、わからないまま1周して問題を解く量を増やすほうが早く身につきます。勉強時間の目安と、9つの単元のどこでつまずきやすいかをまとめました。

「簿記って難しそう」「専門用語が多くて覚えられる気がしない」と身構えてしまいますよね。簿記3級を独学で始めた方の多くが、最初の1週間でそう感じます。

でも、途中でやめてしまう理由は、頭の良し悪しでも勉強時間の不足でもありません。多くの場合、進め方が原因です。なかでも多いのが、最初のページから完璧に覚えようとして、そこで止まってしまうことです。

この記事では、勉強時間の目安と、独学で止まらないための進め方をまとめました。

勉強時間の目安

簿記3級の合格に必要な勉強時間は、一般に、およそ50時間から100時間、期間にして2ヶ月から4ヶ月が目安といわれます。この幅は、簿記に触れたことがあるかどうかで決まります。

  • 会計・経理の実務経験がある方や、商業高校で簿記を学んだ経験がある方は、50時間前後
  • 簿記の予備知識がない完全初学者の方は、80時間から100時間程度

1日1時間なら2ヶ月から3ヶ月、平日30分と週末に1時間なら3ヶ月から4ヶ月が目安です。

ただ、簿記では合計時間より「解いた問題の数」のほうが手応えになります。同じ「1日1時間」でも取れる日と取れない日がありますし、合計時間を目標にすると、取れなかった日に気持ちが折れてしまいます。時間の合計より、次に挙げる進め方のほうが結果に効いてきます。

わからないまま、まず最後まで行きましょう

いちばんお伝えしたいのはこれです。1周目は、わからないところを残したまま最後まで進めてしまいましょう

簿記は、あとの単元を見て初めて前の単元の意味がわかる場面がたくさんあります。たとえば「なぜ費用を左に書くのか」は、決算で損益計算書を作るところまで来ると腑に落ちます。逆にいうと、最初の段階でそこを完璧に理解しようとしても、材料がそろっていないので時間だけが過ぎてしまいます。

「わからないところがあるまま先に進むのは気持ち悪い」と感じる方は多いです。それでも、簿記に関しては1周目で全部を理解する必要はありません。わからない場所に付箋を貼って、そのまま次へ進みましょう。2周目に戻ってくると、あっさり読めることがよくあります。

用語は、うろ覚えのままで大丈夫です

「仕入」「繰越商品」「貸倒引当金」。簿記3級には聞き慣れない言葉が次々に出てきます。日商簿記3級の標準的な勘定科目は98個あります。最初に全部覚えようとすると、そこで止まります。

用語は、うろ覚えのまま進めてしまいましょう。意味は、仕訳を切っているうちに自然と固まります。「繰越商品って何だっけ」と思いながらでも、20問ほど仕訳を解くころには手が勝手に動くようになります。用語集を開いて調べる時間より、手を動かす時間を先に取るほうが早く身につきます。

ただし、5つの要素(資産・負債・純資産・収益・費用)だけは別です。ここは全部の土台になるので、名前と、増えたらどちら側に書くかだけは早めにはっきりさせておきましょう。逆にいえば、最初に押さえるのはこの5つで十分です。

読む時間より、解く時間を長く取りましょう

簿記でいちばん伸びるのは、問題を解いている時間です。解説を読んでいる時間ではありません。

読んで納得した状態と、白紙から自分で仕訳を書ける状態のあいだには、かなりの差があります。この差は、実際に解いてみないと気づけません。「わかったつもり」のまま進むと、模試で初めて解けないことに気づく、という一番つらい形になります。

目安として、解説を1つ読んだら、その場で対応する問題を解きましょう。読む時間と解く時間が同じくらいになれば十分です。慣れてきたら、解く時間のほうが長くなっていきます。

仕訳は暗記ではありません。「何が増えて何が減ったか」を毎回考えて出すものです。最初はゆっくりで構いません。20問、30問と重ねるうちに、考えなくても手が動くようになります。

どこでつまずきやすいかを先に知っておきましょう

簿記3級の学習は、次の9つの単元に分かれます。手が止まる場所はだいたい決まっているので、先に知っておくと「自分だけができない」と落ち込まずに済みます。

学ぶことつまずきやすいところ
1簿記の基本原理借方と貸方のどちらに書くかで毎回迷う
2現金と預金現金過不足の処理の向き
3商品売買3分法の仕入と繰越商品の関係
4債権と債務名前が似た科目が対で出てきて混ざる
5有形固定資産減価償却の月割り計算
6給料と税金預り金と立替金の区別
7株式会社の資本繰越利益剰余金の動き
8決算期中の理解のあいまいさが一気に効いてくる
9伝票会計仕訳日計表への集計

とくに大きな山が2つあります。4番の債権と債務と、8番の決算です。

4番では、売掛金と買掛金、受取手形と支払手形、未収入金と未払金、前払金と前受金のように、似た名前が対で出てきます。ここは1つずつ覚えるより、「あとでお金をもらえる権利は資産」「あとで払う義務は負債」の2つに当てはめて整理すると、初めて見る科目にも見当が付きます。

8番の決算は、それまでに学んだ仕訳のすべてが関わります。ここで急に難しく感じたら、決算が難しいのではなく、期中のどこかがあいまいなまま来ているサインです。

もう1つ、時間の配分の見当も付けておきましょう。日本商工会議所の出題区分表で3級の範囲を数えると、全62項目のうち34項目、およそ55%が「日々の取引の処理」に集まっています。上の表の2番から7番です。学習時間の半分ほどは、日々の取引を仕訳に直す練習に使うことになります。決算は項目の数だけを見ると9項目と少なめですが、期中の積み重ねの上にあるため、実際にかかる時間は数字より多くなります。

つまずいたら、戻ってしまいましょう

決算のあたりで急に進みが遅くなったと感じたら、それは決算が難しいからではないことが多いです。決算の処理は、期中に学んだ仕訳の積み重ねの上に成り立っています。期中の理解があいまいなままだと、決算で一気に効いてきます。

手が止まったら、先へ進まずに戻りましょう。売上原価の計算でつまずいたなら商品売買へ、減価償却でつまずいたなら固定資産へ。遠回りに見えますが、こちらのほうが結局は早く仕上がります。

戻ることは後退ではありません。簿記の学習では、行ったり来たりするのが普通の進み方です。

間違えた問題こそ、財産です

仕訳を間違えたときは、どの勘定科目を取り違えたかまで印に書いておきましょう。「借方と貸方が逆だった」のか「科目そのものが違った」のかで、戻る場所が変わります。前者なら5つの要素の確認、後者ならその取引の理解です。

そして、間違えた問題の記録は、自分がどこを復習すればよいかを教えてくれます。全範囲をまんべんなく復習する時間はなかなか取れませんが、間違えた問題だけなら見直せます。試験が近づいたとき、この印が一番の味方になります。

試験の形式も知っておきましょう

本試験は60分で、合格の基準は70%以上です。第1問では仕訳が15題出ます。試験の形そのものは日商簿記3級はどんな試験か、出題内容と合格の基準にまとめています。

仕訳をすばやく正確に切れることが、そのまま得点につながります。ここまでに挙げた「解く量を増やす」「うろ覚えでも先へ進む」という進め方は、どれもこの仕訳の力を育てるためのものです。

電卓は、序盤の基礎概念を学ぶあいだは無くても大丈夫です。商品売買や減価償却のように計算が絡む単元に入るまでには用意しておくと安心です。試験に持ち込めるのは計算機能(四則演算)のみの電卓で、印刷機能、音の出る機能、プログラム機能、辞書機能があるものは持ち込めません。早めに本番で使う電卓に慣れておくと、試験の日にとまどいません。

よくある質問

1ヶ月で合格できますか

1日2時間以上を確保できれば、期間を短くすることはできます。ただ、大切なのは早く終えることではなく、学んだ内容が身につくことです。短期間で駆け抜けるよりも、無理のないペースで着実に続けるほうが力になります。簿記は他の受験者と競うものではなく、自分のペースで身につけていくものです。

わからないまま進んで、本当に大丈夫でしょうか

1周目については大丈夫です。2周目、3周目で埋めていけば間に合います。むしろ、1つの単元で完璧を目指して止まってしまうほうが、合格から遠ざかります。ただし、5つの要素と仕訳の基本ルールだけは、あいまいなまま進むとあとがつらくなるので、ここだけは早めに固めておきましょう。

独学でも合格できますか

独学で合格している方はたくさんいます。簿記3級は、範囲が決まっていて、問題の形も安定しているためです。つまずいたときに解説を読んでもわからない場合は、別の説明を探したり、いったん飛ばして先へ進んだりして、疑問を長く抱えないようにするとペースを保てます。

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